最近30分アニメを見る集中力すらなくなってるので、映画館なら強制的に最後まで見られる!
という超消極的な理由で見てきました、バケモノの子!
雄臭ぇケモノがオッス! オッス! する大変素晴らしい映画でした。
100点満点で点数つけると、1万点くらいですね。
もうストーリーの動かし方、キャラクターの心情の持って行き方が流れるようで、
飽きる隙がないうえに、緻密に伏線を積み上げていってるのがすさまじかったです。
こう、脚本という糸で身体中がんじがらめにされて、「ええやろ?ええやろ?」
「こうすると泣いちゃうんやろ?」「ここでコイツ死ねば泣くんやろ?」
「主人公は危機を乗り越えるで、そんときにな、今まで世話になったキャラが背中を応援するんや」
「感動するやろ?泣くんやろ?ほれほれ、たまんねぇって言えや?こういう展開大好きなんやろ?」
悔しい、でも感動しちゃう!!
だって超おもしろいんだもん!!
びくんびくん!!
って感じでした。
色々語るべきところの多い映画なのですが、特筆すべきは流れるようなストーリーで、
まったく突っかからない……。
……ん?
突っかからない……?????
本当に????
一カ所変な部分なかった???
流れるように、まるで視聴者の心を操作するみたいなストーリーのはずなのに、
”一カ所だけ変な部分がある”
まるで気付いてくれと言わんばかりに……。
こっから先は完全なネタバレになるのと、あくまでcutlassの妄想の部分が大きいです。
畳んでおきますので、読みたい方だけどうぞ。
〜ここから先はバケモノの子のネタバレを含みます〜
〜考察に関しても、完全に妄想です〜
〜以上をご理解の上、お進みください〜
……ってわけで、OK?
OKですか、じゃあ先に進みましょう。
・バケモノの子あらすじ・
主人公の蓮は9歳のときに母を交通事故で亡くし、離婚し自分を見放した父と、
母が死んでも涙一つ流さない祖父母を怨み、家を出る。
渋谷の街で途方に暮れる蓮、その前にバケモノの熊徹(ガチムチ毛むくじゃらの雄♂)が現れ、
自分の弟子になるつもりはないかと持ちかける。
悩んだ末に断る蓮だったが、自分の心の中に闇を見つけ、またも逃げだしてしまう。
蓮が逃げだした先に辿り着いたのは、人間界と表裏の関係のあるバケモノの世界、
渋天街(じゅうてんがい)だった。
渋天街では次の主<宗師>に選ばれる資格を得るため、熊徹が弟子を求めていた。
半ばなし崩しに弟子になった蓮は、九太という名を与えられ、師匠であるはずの熊徹といがみ合い、
衝突しながら着実に成長を重ねていく。
〜ここまではOK、教科書みたいなストーリーの積み方です〜
それから8年の歳月が過ぎ、九太は成長した。
師匠の熊徹をもなぎ倒す力と技を獲得し、考えられないほどに弟子の数も増えた。
すべてが順風満帆、そして……幸せな生活。
だが、それが結果的に、九太にとって足りないモノを露わにしてしまうのだ。
それは知恵と、人としての生き方だった。
果たして自分はバケモノの世界で暮らすべきなのか、いや、バケモノとして生きられるのか?
悩む九太を、宮野真守が嘲笑う。
「人間の癖に……」
〜キャスティングの段階でオチが見え始める〜
〜どーせ悪墜ちすんでしょ、わかってんだよ〜
***こっから完全妄想***
プロデューサー:
いや〜わくわくする展開ですね〜。
ここから人間世界に帰るんですか?
細田監督:
そのつもりですよ、盛り上がりますよ〜。
人間世界に戻って、人の心に触れる九太をですね、熊鉄が――。
プロデューサー:
……は?
テメ、何て言いやがった?
細田監督:
ですから、人間の世界に戻った九太が、人の闇に触れるんですよ。
自分を捨てた父にあって、そして埋めることのできない時間をですね……。
プロデューサー:
バカじぇねーの、オマエ。
そんなんだから、ハウルの監督降ろされんだよ。
主幹事どこか読んでみろ、ほれ、ほれ。(頬を引っぱたきながら
細田監督:
に……日テレ……。
プロデューサー:
日本テレビ放送網”様”だろ、ったく、本当に頭回らねーなオマエ。
女出すんだよ、女。
細田監督:
しかし、今回は父と子がテーマで……。
プロデューサー:
そんなに毛むくじゃら出してーなら、同人誌描いてろよ。
PA費(公開映画館確保と広告費のことだよ♪)いくらかかってるかわかってんのか?
コケたらテメェ一人首吊ったところで、穴埋めできねーぞ。
細田監督:
ぐ……ぐぬぬぬぬ……。
プロデューサー:
ちなみにヒロインはこの子な。
カワイイだろ、売れるだろ、売りてーんだよ。
細田監督:
…………。
プロデューサー:
わかりゃいいんだよ。
***妄想終了***
〜というわけで、とってもカワイイヒロインが登場します〜
ヒロイン楓の助けにより、9歳の頃から消息不明で現実世界では完全引きこもり、
の九太……蓮は無事住民票をゲット、基本的な学力を獲得し、高卒認定試験への道が開けます。
自分を捨てたはずの父とも再会し、本当は今までずっと自分を探していてくれたこと、
そして……やり直したいという熱い意志を受け取ってしまいます。
忘れていたはずの自分の闇、誰からも必要とされない、ひとりぼっちの自分を思い出し、
心の中に闇を感じる蓮。
バケモノの世界と、現実世界。
自分はどちらで生きるべきか、悩み、徐々に闇に囚われていく蓮。
そんな蓮を助けたのは、ヒロインの楓ちゃんだった!!
〜まあしょうがないよね、大人の世界ってそうだし〜
〜今までの作品でそそり立つような性癖の塊みたいなヒロイン出してたのに〜
〜今回はNO魅力っていう、まーテンプレ。勘ぐるなって方がムリ〜
〜でも、ここまではOKです〜
しばらくほったらかしにしていたバケモノの世界では、異変が起こっていた。
宗師を懸けた戦いに向け、熊徹とあともう一匹が壮絶な戦いを繰り広げようとしている。
ライバルのはずなのに存在感0の男の息子、宮野真守。
九太をボッコボコにぶん殴り、捨て台詞を吐く。
「人間風情が」とか、確かそんな感じの。
そんな宮野真守の中に、九太は闇を見いだしてしまう。
まさか……宮野真守は……。
〜美しい悪墜ちっぷり。感じちゃうぅうううううう〜
宗師を懸けた戦いが幕を開ける。
だが、もはやそんなことはどうでもいい!!
宮野真守はどうなる!?
悪墜ちか、ラスボスなのか――!?
宮野真守
「おのれ九太めぇえええええ!!!!」
おっしゃあああああああ!!!!!
悪墜ちだぁあああああああああああああああああああああああ!!!!
これを待っていたああああああああああああああああああああ!!!!
感じちゃう〜〜〜〜びくんびくんびくん!!!!
そして最終決戦へ――。
完全に闇に飲まれた宮野真守、立ちふさがる九太。
九太は捨て身の攻撃で、宮野真守を――。
…………あれ?
〜なんか変じゃない????〜
というわけで、こっからが今日の本題であり、妄想考察です。
前振り長いとか言うな!!
何故CV:宮野真守なのか???
「CVの段階で悪墜ちするってわかった(笑)」って言われるに決まってるのに。
ここまで丁寧に作品を紡いできて、細田監督自らが脚本を書いてるのに、
そんな出オチみたいなリスクを冒すのは何故なのか?
それと見てた方はわかると思うのですが(見てない人読んでないと思うけど)、
一郎彦(宮野真守)が心に闇を抱える描写が唐突すぎる。
あそこで闇落ちさせるなら、九太と心を通わせる熊徹との対比として、
猪王山と一郎彦とのすれ違いを描くべき。
上映時間は119分とギリギリですが、時間はあったはずなのに。
……でも、やらなかった。
何故なのか?
〜これは、まさか〜
細田守監督のインタビューを読み返して見ましょう。
日経BP社の細田守とスタジオ地図の仕事のインタビュー部分でも、
内容に対して突っ込んだコメントはありません。
その中に、こうあります。
”企画が成立するか否かは、面白いと思ったコンセプトが
プロデューサーやスタッフにも面白いと思ってもらえるかが重要です。”
人から本音を聞き出すときに重要なのは、基本的に褒めまくって中身に言及しない
発言というのは、真意を語っていない、ということです。
〜だからつまり、逆だったんじゃないの?〜
バケモノの子の構想段階、プロット段階、初期脚本段階では、
最後に悪墜ちして渋谷の街をズッタズタにするのは、主人公の蓮だったんじゃないのか?
だからストーリーミッドポイント(転換点)で、白鯨を読んでいた……。
人には誰しも闇があり、子供から大人に変わるとき、対峙する瞬間が訪れる。
大人になるか、それとも……巨大な怪物になってしまうのか……。
折り合いをつけられ、対峙できるのは自分自身しかいない。
だが、バケモノの子はそうはならなかった。
何故か?
〜自分自身が敵というのは、一般ウケしない〜
身も蓋もない言い方をすれば、そうなるわけです。
テーマが折られた瞬間にバケモノの子は芸術作品から、娯楽作品に変わりました。
私達が楽しく見て、面白かった!と言えるのも、そのおかげです。
自分自身とよく似た他人が闇に囚われ、敵になる。
ヒロイン、師匠、そして仲間たちに支えられ、主人公は敵を倒し、英雄になる。
……それでいいんだけどね、すごく面白いし。
退屈しないし、小難しいこともない、ただ純粋に何も考えずに見れて、
家族の大切さ、人と人との繋がり、自分自身の成長、そんなものに想いを馳せられる。
感想:
もっと自由に作らせてあげなよ
完全な妄想ですので、違ってくれることを祈ります。
ネタバレを畳んで下さるという超ファインプレーですね(''∇^d) ナイス☆!!