4巻締め切りが迫っていて、ニッチもサッチも行かない状態ですが、本当に大きなニュースなのでコメント残しておきます。
細胞を酸性溶液につけるだけで、リプログラミング(初期化)が起こるという画期的な発見がなされました!!
これは本当に大きなできごとです。
なんで大きなできごとかというと、
STAP細胞なんて存在、医療系の雑誌の再生医学特集に一っっっっ個も乗ってないのに、いきなりの登場だったからです。
いや本当に、マジで知りませんでした。
それがあろう事か、Natureに論文がダブル掲載という大大大快挙。
これはどれくらい凄い事かというと、新人漫画家がいきなりジャンプで連載二つ持つくらい凄い事なのです。
そんなニュースが休憩室でごはん食べてるときにTVから流れてきたからさあ大変、その場にいた全員が、同じ驚きを覚えました。
「酸性溶液でリプログラミング? 嘘吐いてんじゃねぇよこのBBA」割烹着って何……割烹着って……。
基本的にはiPS細胞はレトロウィルスを使用し、ヒト皮膚細胞に4つの遺伝子、Oct3/4、cMyc、SOX2、K1f4を組み込むことによって発現します。
てゆーかSTAP細胞の前に、ざざっとiPSの説明しないとダメですね。
iPS細胞とは?……だんだん一夜先輩っぽい話になってきたね。
細胞には子供の細胞と大人の細胞があります。
子供はどんな大人(組織)になれる素養がありますが、就職してしまった大人細胞は、もう再就職できません。
万が一心臓や肝臓などが傷ついても、子供細胞があれば修復や、変わりの心臓なり肝臓を作れば再生の手がかりになります。
ですが、子供細胞はそうそう確保できません。
そこで登場したのが、リプログラミング(初期化)という手法です。大人細胞を何らかの形で子供に戻すという、まあ、魔法ですよね。
それに世界で初めて成功したのが山中教授で、ノーベル賞を受賞しました。
iPS細胞の仕組み先ほど説明したとおり、iPSは皮膚細胞に、Oct3/4、cMyc、SOX2、K1f4(これを山中4因子というよ♪)を、レトロウィルスを介して注入することにより、リプログラミングがかかります。
皮膚細胞が幹細胞(iPS)となり、すべての組織へ変化していくのです(まあ、そこら辺まだ難しいんだけどね。子供は無限の可能性を持っているけど、セリエAで活躍するヤツそう簡単に育たないでしょ?)。
iPSはウィルスを介しているので、ウィルスの特性である”無限増殖”機能を有しています。
増殖という機能を持っているがゆえに、”増やすことが可能”になるわけで、再生医療の切り札になれるわけです。
ただ、増殖というのはガン化のリスクも内包しており、さらに山中4因子のうちのcMycなんてガン遺伝子そのものなので、さあ大変。
ガンリスクを減らしたhiPS細胞も開発されてきてるけど、技術的な課題は残っています。
STAP細胞とは?ここまで説明して、ようやくSTAPの話に移れます……ぜぇぜぇ。
トランスポゾンの話もなしに、先に進めてんじゃねーぞゲノム舐めんな、あぁん? って言われそうだけど長くなるから勘弁(泣。
……え? ES細胞から話を聞きたいって? やっちゃう? やっちゃうの? いいよーいいよー説明しちゃうよ〜。
まずES細胞というのは遺伝子ベクターをシャーレ内でエレクトロポーションし、胚盤内に(以下略。
……というわけでF1ヘトロ接合体の同定を行ったあと、トランスジーンのホモ接合体が得られるんだけど、わかったかな?
わかった?
OKOK、じゃあSTAPに行こう。
今までの説明からわかるとおり、
幹細胞って作るのクッソ面倒くさいの。
それを簡略化したのが、STAP細胞です。
……本当に、そんだけです。ガン化しにくいとかあるけど、作るの簡単なiPSって覚えておくと便利です。
STAP細胞の作り方生後一週間のふなっしーに、酸性溶液ぶっしゃーして、中のヒトもろとも全部溶かしてしまいます。
こりゃもう放送事故でしょってところまで溶けたら、それをLIF溶液につけ込み、一週間待ちます。
完成!!
ね、簡単でしょ?
実際のところは生後一週間マウスのリンパ球を使ったとありますが、どうしてリンパ球なのかとか、謎が残ります。
LIF溶液に関しては、ESもiPSにも使うわけだけど、FGFとかの関与も疑うべきじゃないかなーとか。
まだちょっと、謎が多い……つーか謎だらけです。
ヒャッハーSTAP細胞万能だ! これで攫ってきた金髪ツリ目幼女の遺伝子をお腹に埋め込んで飼育可能だ科学万歳、合法誘拐が可能になったぜぇ!早ぁあああああああああい!
喜ぶの早ぁああああああい!
てゆーか何ですか、その性癖は!?
まだ、そういう研究の論文が発表されました、というだけです。
落ち着いて、金髪ツリ目幼女になりたいならわかるけど、あなたのお腹の中で金髪ツリ目幼女を飼育するのは、とてつもなく大きな倫理的問題があるから、落ち着いて。
STAP細胞はレトロウィルスを組み込んでいないので、増殖能に大きな問題を抱えています。
それに、大人の人間に対して、正常に発現するかは未知数です。
技術的な困難が克服されて実用化されるのは、早くて数十年先になるでしょう。
医療研究というのは、特殊な分野です。
iPSやSTAPが導入されて再生医療が可能になるとしても、今はまだ全然使えない状態なのです。
そもそも再生医療が本当に実用化されるのか、その目処もついていません。
輝かしい報道にばかり惑わされるのではなく、今行われている治療、食餌療法であるとか投薬治療、人工臓器置換……も、同じくらい大切に研究し、上手くつなぎ合わせていかないといけません。
走っている車を、走らせながら、あり合わせの材料で直していく。
そういう難しい処置を、医療の現場は行っています。
確かにSTAP細胞は素晴らしいです。
ですが、
だからといってiPS細胞や、他のチマチマした手術や治療が無駄かと言うと、まったくそんなことはありません。
報道を、鵜呑みにしないようにね!